再会からそれは始まった。
朝日がそのまま部屋にさしてきて、俺は目が覚める。

昨日は、あのまま帰る時間さえも待てないと、B.C.Squareの上階にあるダブルルームをとってしまった。
自分自身は、ここのホテルには泊まったことがない。
まあ、このビルに住んでいたからその必要性も全くなかったわけで。
しかも、ここのオーナーだと顔が割れているにも関わらず、花を連れて堂々とリザーブしてしまった。


花は、幸せそうな安心しきった顔で、俺の腕枕で眠っている。
少しだけのぞかせた花の肩から背中のラインがきれいだ。

昨日は、あの後、花は思いつめたような顔をして、なんで私なんだ?とか、なんで松山さんじゃないのか?とか、住む世界が違うだとかなんだとか此の期に及んでそんな事を言い始めた。
はじめて俺たちはこのホテルの部屋で、言いあいになり、大喧嘩になった。

もう最後は、泣きじゃくる花をそれこそ黙れといわんばかりに強引に抱いてしまった。

目をもう一度閉じて、昨夜の余韻に浸る。
その泣き顔も全部もう俺のものだ。あの時手に入れたかったもの。全部。
身体を重ねていくうち、花も俺も少しずつ落ち着いてきて、心が通い合う何かが押し寄せてきた。

こいつは、ほんとにどこまでも反則だ。
ボーイッシュのようなふりをして、ああいう時はものすごい積極的なんだな。
違う。いつでもどんな時でもまっすぐなんだ。
もっと俺が欲しいとまっすぐそのまま表現する花は、色っぽくてどこか野性的で俺をとことん夢中にさせた。
ますます、メロメロになってしまったのは俺の方か。

俺は、横にいる花の茶色のふわふわの髪の毛に、耳たぶに、頬に口づけをする。

「ん・・・」
少しだけ動いて花はゆっくりと気だるそうに目を開ける。
俺を見つけると、照れくさそうに笑って俺の胸に顔をうずめてささやく。

「おはよ。」

花は、そのあとは何も言わず、俺の首に手を回し見上げるように俺を見つめてくる。
上質なシーツがこすれる音がする。素肌に心地よい。

俺は、ゆっくりそのまま花の上にもう一度のしかかる。
手を合わせ、指をからめて俺たちは見つめあう。
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