再会からそれは始まった。
秘書 松山 SIDE

朝。
目を開けるにも、ものすごく頭が痛いという事に気が付いて開けられない。
あ、昨日すごく飲み過ぎたんだった。
そして、なんだか全身が気だるい微熱にさらされた感じ。
ゆっくり体を動かすと、誰かが隣にいることに気が付く。
え・・・誰?

そっと目を開けると、隣に金沢君が眠っている。
しかも、彼、裸じゃない!
ギョッとしてあわてて、自分の身体を確認する。
私も、何も着ていない・・・・・。

その身体の火照った気だるさもあわさって、私は昨日どういう事が起こってしまったのか理解した。
上半身を起こして、周りを見渡す。
ここは金沢君の住んでいる部屋?
シンプルな黒の家具。あまり物がないけれど、部屋の真ん中にあるオーディオプレイヤーだけは大きくて高級そう。
その横の棚には、おそらく金沢君がコレクションしている古いレコードが並んでいる。

ベットの下を見ると、私たちの服が散乱している。

いくらなんでも大失恋したからって、自暴自棄になってこんなことする?
33歳にもなって。
痛すぎるわ。。。

私は、ドーンと落ち込む。

「おはようございます・・・。」
金沢君が、ゆっくり起き上がって私を背後から抱きしめてくる。

なななな。ちょっと、何やってんの?
私は、振り向いて金沢君の目を見る。
私の動揺した目を見て金沢君は、少し苦笑して

「あれ? 松山さん、昨夜のことなんにも覚えていないんだ?」

とのんきな声で聞く。

「ええ、全く。」

「それは、残念だな。」

「・・・・・・・。」

金沢君は、照れくさそうに笑って
「すごく、素敵でしたよ。 松山さん。」
とささやく。

私は、あわてて向き直って膝小僧に顔をうずめる。
私、なんてことしちゃったんだろう!
恥ずかしくて顔が真っ赤になる。

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