再会からそれは始まった。
日曜日だけど、いくつかのクラブは練習をしているみたい。
秋だし、大会も多いもんね。
校門が開いているので、警備員さんに、「卒業生なんですけど入っていいですか?」とお願いすると、「何か証明するものは?」と言われて、頭にきて校歌をその場で歌ってやった。
南くんは、笑いをこらえて、
「おまえのそういうところも、変わってない。」
と言う。
警備員さんも苦笑して「わかったよ。どうぞどうぞ」と言って私たちを中に入れてくれた。
手をつないで校庭に入ると、部活動の練習をしている高校生たちがこちらをチラチラと見ている。
「青少年たちの前ではこれはまずいんではないの?」
と手を離す。
「イマドキは、こんなのどうってことないんじゃないの?」
と不満げに南くんは言う。
「私たちの時はこんなことするのもド緊張だったけどね。」
「お前は彼氏いたろ?」
「ああああ。なんか思い出したくないことまで思い出してきた。」
南くんは苦笑して、ひとつ大きく息を吐く。
懐かしそうに目を細めて校庭を見渡す南くん。
私も立ち止まって見渡す。
私たちは、ここで出会ったんだ。
最初に。
やっぱりあの時から南くんの事が気になっていたのは、南くんが私の運命の人だからだったんだ。
ね、きっとそうだよね?
私は、ここにいた十年前の自分に心の中でそう問いかける。
私は、やっぱりキュッと南くんの手を握る。
南くんは、私をいつものように横から見下ろして、目が合うと少し笑ってぎゅっと手を握り返してくれた。
終わり