再会からそれは始まった。
花のマンションは、目黒川沿いにある古いけど趣きのある建物だった。
春はきっとこの目黒川沿いの桜が眺められる。

こんなふうに、都会でも、四季のうつりかわりや自然の変化が感じられるような場所に俺は住みたいんだ。

「早く着替えてこい。」

「ありがと。」俺の命令口調にちょっと納得のいかないようなそぶりで、花は車から降りる。

俺は、近くを周り、適当なコインパーキングに車を止める。

歩いて花のマンションに向かう。
ここが花が住んでいる街か、、、と見渡す。
静かで、今朝の雨のにおいがまだ少し残っている。
ゆっくり息を吸って吐く。
雨も捨てたもんじゃない。 ここにいると雨も好きになれそうな気がする。

ふと、川沿いに立ち、上を見ると建物と建物の間から、俺たちのビルの上階部分が少しだけ顔を覗かせていることに気が付いた。

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