再会からそれは始まった。
彼とは、二年生になって同じクラスになった。

二学期になっても、彼とだけはほとんど挨拶もかわさないまま。
だから、気になってしまうのか、彼の一挙手一投足が気になって仕方がない。
あんまりじろじろ見ると怒られそうだから、こっそり盗み見しているんだ。

友達の話を総合すると、少しだけ彼のことがわかってきた。
彼は男ばっかりの家族で育ってきたこと。

家事は、彼がほとんどやっていて、お弁当だって自分で作っているって。
それで、この間チラッと彼の大きなお弁当箱をのぞいたんだけど、すっごく美味しそうでびっくりした。
うちのお母さんの手抜き弁当と比べたら、もう雲泥の差。
あー、あのから揚げと卵焼き、一口でいいからもらいたい。

器用なのかな?多分、体操着のゼッケンも自分でつけているはずなんだろうけど、普通にきれいに縫いつけてある。
図体の大きい彼が、背をまるめてちくちくと縫っている姿を想像すると、ちょっと萌える。

学校で本を開いているところは見たことがないけれど、実は彼はかなりの本を図書館で借りていることにも気が付いた。
ジャンルを問わず、読み漁っているのに好感が持てる。
でも、やっぱり歴史物は好きみたい。
あと、何気に成績もダントツに良い。
ガリ勉の雰囲気は全然ないのに、さりげなくいつも成績発表の上位五位以内には名前が載っている。
スポーツもできて成績も良くて、でもその知識をひけらかすこともなく、そして女子からは怖がられていてモテるわけでもない。 そんな彼は、男子には絶大なる信頼と人気を得ていた。

そう、あのアメフトをやっている姿とか、体育で本気で男の子たちと身体を動かしているところを見ると、想像もつかないようなギャップが彼にはある。
空想妄想好きの私にとって、彼がこの学校の中で最も興味のある人物であることは間違いない。

だから、友達になりたいんだけど。

みんなが言うには、やっぱり生い立ちを考えると、女が苦手なんじゃない? とか。
あの女子力高いお弁当からして、実はホモとかー????なんていう話も。

ああ、もしそうならますます彼とお話ししてみたい!
< 3 / 133 >

この作品をシェア

pagetop