再会からそれは始まった。
えっと、なんの服を着たらいいかな?
高級店に連れて行ってくれるのかな。
そうしたら、ちゃんとした格好しないといけないしな。

散らかし放題の部屋を掻き分けて、あれこれ悩んでいると、後ろから声がした。

「女の部屋?これ」

振り向くと、扉を開けて寄っかかって腕組みをして南くんが呆れた顔をして立っている。

「わ、勝手に開けないでよ。 いつもはこんなんじゃないんだから。それもこれも、、」

「俺のせいだって言うんだろ?」
とおもしろそうに笑って言う。そして、靴を脱いで中に入り込んでくる。

「あ、誰も上がっていいなんて言ってないからー!」

「うるさい。こういう散らかった部屋を見ると片付けないではいられない。」
南君は、スーツの上着を椅子に掛けてシャツのを腕まくりする。

気がついたら、二人で大掃除。

「ねえ、お腹すいた。」

「終わってから。」

「さすが自分に厳しいね。あ、他人にも。」

「無駄口叩かず、手を動かせ。 ったく、書類は自分で仕分けろよ。」

「これ全部洗濯機に放り込むからな。何日洗濯してないんだよ。」

「一週間?ん?二週間?」

「飯もロクなの食ってないだろ?」
南くんは、カップラーメンのごみやコンビニのサンドイッチの袋をごみ袋に片っ端から入れていく。

「あ、でも昨日金沢くんにご馳走してもらったし。ウニのパスタ。美味しかったなあ。」

「俺もそれだ。」

「あれ、隠し味に八丁味噌使ってたよね?」

「……………お前もそう思った?」

「南くんも?金沢くん一口分けてあげたのに、全く分かってなかったよ。味音痴もいいとこ。」
あはははと笑う。

「………………。」
金沢の話ばっかりするのが、なんとなく気に入らない。 パスタを分け合うってどんだけ仲良いんだよ。

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