再会からそれは始まった。
プハーっとおしぼりで顔を吹く。

目を丸くして目の前の松山さんは、私を見る。

「あ、またやっちゃいました。この間もコレやって、金沢君に叱られました。オヤジがやるような事するなって。」
私は、苦笑いをして頭をかく。

松山さんは、ちょっと呆れたような顔をして笑う。
「金沢君の方が女子力高いんじゃないかしら?」

「その通りですよー。 松山さんの事このお店に誘ったなんて言ったら怒られるかも。 松山さん、ほんとここで良かったですか?お誘いするならもっとちゃんとしたお店にすれば良かったかも。」
お店に入って、座ったとたんそう後悔したんだ。

「でも、本当に美味しそうな匂いがしたから。 」
そう答えてくれてちょっとホッとする。
だってこんな綺麗なスーツを着こなしている美しい女性なんて、この店に松山さん以外いないもの。

「オヤジが集まる店は、間違いなく美味しいんですよ。だからね、いっつも仕事がひと段落したらここに入るぞーって横目で見ながらあのビルに通っていたんです。」

松山さんはクスクス笑う。
私が言うのもなんだけど、笑うと本当にかわいらしい。
一気に緊張感がとけてしまう。
「とりあえず、生ビール!で、いいですよね?」

「ええ。」
おしぼり吹いている手は、綺麗にネイルが整えられていてさりげなくラグジュアリーな高級腕時計がその細い腕にはめられている。

雨の日、同じ傘に入っていた南君と松山さんは、とてもお似合いだった。
そう、とっても。。。。
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