再会からそれは始まった。


秘書 松山 SIDE


すっかり磯崎花のペースにのってしまい、お酒もすすんでしまった。

「私は、テニス部だったんですよ。」
と磯崎花。

「私もテニスたまにやってるの。行きつけのスポーツクラブで。」

「えー!ホントに?!今度一緒にやりましょうよ!」
キラキラした目で言われて、アレヨアレヨと週末の約束までしてプライベートの携帯電話まで交換してしまった。

彼女はこうやって誰とでもすぐに打ち解けてしまうのだろう。
高校の時、彼女のそんなキャラクターを持ってさえも、南さんとは話もできなかったというのが信じられない。

でも、確かに今でこそ彼はスマートに相手の事を考えて、話題運びをうまくできるマナーを持っているだけで、ある意味彼のサイドには立ち入れない高い壁がある。

若くしてのし上がってきただけあって、簡単には自分の手の内を明かさない。
すぐに人を信用したりはしない慎重さが、彼をそうさせているのか。
彼には、孤独なものを感じさせる何かがあった。

2人で焼き鳥屋を出る。
楽しかったな。また、彼女とこうやって会うのは息抜きになるかも。
こういう友達みたいな関係は、本当に久しぶり。
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