再会からそれは始まった。

いよいよいくつかの企業が各フロアに入り始め、このビルに活気が満ちてきた。
2階のカフェやコンビニ、3階の銀行や6、7階のレストランは、それに合わせてプレオープンし、ランチタイムはそれらのフロアもにぎやかになる。
あと、二週間ほどで、上の階のホテルやバー全てが営業を開始し、グランドオープンになる予定だ。

最近は、もうほとんどこのビルのマネージメントは軌道にのり、人に任せ、俺は次のビジネスの話で各地方、各国を飛び回る日々。
頭の片隅に、花のことがあったけれど、忙しさにかまけて追いやっていた。
たまに、花の唇の感触と触れた柔らかな短いふわふわした茶色の髪を思い出すだけで。


オープニングパーティーの準備プランのメールをチェックしていて、ふと思う。
秘書の松山を呼ぶ。

「なんでしょう?」

「あの広報担当の金沢ってのここに呼んでくれないか?」

「はい、かしこまりました。」


< 47 / 133 >

この作品をシェア

pagetop