再会からそれは始まった。
金沢 side
花さんの事務所とビルの中間地点には、老舗の蕎麦屋がある。
だいたい中間でという時は、ここで打ち合わせを兼ねてご飯を食べていた。
そういえば、もう仕事もひと段落して花さんとは連絡を取り合うことも減っていた事に気がつく。
久々に会う花さんは、なんだかちょっと綺麗になった気がする。
ま、あの地獄のような仕事ラッシュを乗り越え、今はお風呂に入る余裕も自分に身支度にかける時間もあるからだろう。そう思った。
花さんは、いつもここで頼むカレー南蛮セイロをすすり、もう既に白の綿シャツにカレーの点々をつけている。
「なんで、その格好の時にカレー南蛮頼むんすか? 」
ツッコミを入れたくもなる。
「だって食べたいもん。洗濯すれば落ちるって。」
「今日1日、そのシミつけてるんすか?」
「うるさいなあ。気にならないもん。いいの!」
僕は呆れて自分のおちょこに薄く刻んだネギとワサビを溶かし入れる。
「で、どんなどんでん返し?」
僕は、昨日帰り際にボスに呼び出された一部始終を話す。
本当はこんなこと部外者に相談する事でもないし、ましてや花さん達を招待する側としての問題なのについつい全て洗いざらい話してしまった。