再会からそれは始まった。
松山から、「これ、預かりました。磯崎さんから。」とふいに紙袋を渡されて中を見る。
あんのやろお、置いておけと言っただろうが。
「ここに来たのか?」
俺は、できるだけ平静を装って、書類をめくる手を動かしながらそう聞く。
「いいえ。私、最近、磯崎さんとテニス仲間になったんです。」
そう聞いて、俺はさすがに驚きを隠せなかった。
手を止めて、松山の顔を見る。
「・・・・・・・。」
「毎週末、会ってるので。」
松山は、なんだか勝ち誇ったような顔をして俺を見下ろしている。
なんでも知ってるんですからといったような。
俺は、思わず吹き出して笑う。
こんなにおかしいのは久しぶりだ。
「何がおかしいんですか?」
松山は、少しびっくりしたような面持ちで、俺に聞く。
「うん。そうだな。第一に、君がテニスが趣味っていう意外性。
第二に、君のスコート姿を想像して。
ま、そして最後に、磯崎花のあの誰とでも打ち解ける才能は天性のものだなと関心して。
君と花がボールを打ち合っているところを想像しただけでも、腹が痛い。」
くっくっと笑いをこらえる。
松山は、顔を真っ赤にして
「ちょっとその二番目は、セクハラにひっかかりませんか?」
「ああ、わるいわるい。」
俺は、まだ笑いが止まらなかった。