再会からそれは始まった。
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金沢 side
ほぼ各フロアに企業が入り、エレベーターフロアやエントランスは、活気に満ちてきた。
なんといっても、華やかなOLさん達が増え、フロアは甘い香水の香りがするようになった。
エントランスの受付にもかわいい娘たちが、毎朝立っているというのもなかなかいい。
朝からやる気になるよな。
だって、うちの系列の会社の女子は、バリキャリで少々女性としての柔らかみに欠ける。
それか、花さんみたいな化粧っ気なしのカジュアルなデザイナーさんたちとしか知り合わなかったし。
そして、あれ?
僕も、何気にちょっといい感じでOLさん達に人気ある?
アッパーフロアーの企業は、彼女たちにとって格上のようで、アッパーフロアー専用のエレベーターのカードキーを首からぶら下げているだけで、ちらちらと見られたりするのは気のせいか?
後ろ指を刺されているような気がするのは勘違いか?
しかし、エレベーターを待っている間に聞こえてくる会話を分析すると、彼女たちの一番のあこがれは、やっぱりうちのボスのようだ。
「私、一回エレベーターホールで見かけたー!すっごいオーラがそこらへんの男とは違うの。貫禄あってね。」
「えー!私も早く出会いたい!」
「イケメンマッチョで、ビシッと高級なスーツでキメてるからすぐわかるよ。」
「億万長者なんでしょ? 28だって。信じられる?」
「もちろん独身だよね?」
「上の階のどこかに住んでるって話よ。」
「ランチとかレストランでしたりするのかな。」
「えー!しないでしょー! 上の階の高級ランチならまだしも。下界になんかめったに降りて来ないのよ、きっと。」
すみませんねー、そこらへんの男でさ。
普通に下界でランチしますよ。きっとボスだって。と心の中で呟いてみる。
うちのボス、なんだかアイドル化?いや神化されてないか?
このビルの中で。
僕は苦笑するしかなかった。
やっぱり、僕は花さんみたいな女の子の方が好みだな。