再会からそれは始まった。
周りを散策して、ビルのフロアも二人でうろうろしてみる。

よく観察していると、まだまだ改善しなければならないところはあるように思う。

二人で行列しているイタリアンのレストランにならんでみる。
なんと、もうかれこれ50分も経っている。
「50分かー。どうにかならないもんかな。」

俺がイライラしているのを花はたしなめる。
「美味しいもの食べるためには、日本人は並ぶことは苦にも思わないの!
全く、南くんはすぐ効率とか時は金なりとかビジネスライクに考えるんだから。」

「悪いか?」

「例えば見てごらんよ。前の方に並んでるカップルを。ウキウキラブラブだったら、こうやって並んでる時だって幸せで楽しいんだから。」

「ふうん。」

「すみませんね。私が相手で。」
花は、ベッと舌を出してむくれる。

「…………………。」
いや、俺だって花とこうしているの楽しいけどな。

「私に感謝してよね。さすがに1人でそんな仏頂面してここには並べなかったでしょ?」
といたずらっぽく笑う。
こいつは、本当にコロコロと表情が変わる。

「うるせ。意地でも並んだ。」
俺はムッとする。

「うそばっかり。」
花は、そんな俺を見ておかしくなったのか、ケラケラと笑う。

「・・・・・・・・。」
花の横にいるだけで、幸せな気持ちになる。
昨日、またあんな突飛な行動に出てしまった理由も、もう自分の中ではわかっていた。

昔の自分にケリをつけたいとかそんな事じゃない。

俺は、花が欲しい。
そして、花なら俺を救ってくれるんじゃないかって思うんだ。

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