再会からそれは始まった。
噂をすれば。

そのアメリカ本社の御一行様が、南君と松山さんの後に続いてセントラルパークの道を通って行く。

私は、遠くから眺めるだけ。キュッと胸を締め付けられるような感覚。
ああ、やっと会えた。

彼の横には、金髪のスレンダーな美人が寄り添っていた。すごく親しげだ。

にこやかに話してエスコートしている南一徹を見て、私は目をそらす。
金沢君もそれに気が付いて、ひとまずは話題が変わる。

「あ！ボス。あれ見て、あれがその今来ているっていう本社の御一行様だよ。
あのロマンスグレーの男が、世界の不動産王のスティーヴン。カッコいいだろ？
ボスの横にいるのがその一人娘だ。ボスの婚約者だってウワサだよ。」
と金沢君。

「え。」
私は、もう一度その向こうの2人を見やる。
金髪美人が、南くんに甘えるようにしなだれかかってなにか話しかけている。
南くんもやさしい笑顔で彼女に答えている。

なるほど。そっかそういう事なんだ。そうだよね。とってもお似合いだな。
ずどーんと大きな石が頭上に落っこちてきたように、私は一気に落ち込んだ。



「もうすぐ、結婚してアメリカ行っちゃうんじゃないかな？
スティーヴンは、早く後継者を決めたいみたいだし。」




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