再会からそれは始まった。
松山さんは、私の部屋で缶ビールのプルタブをあける。

「汚い部屋ね。女性の一人暮らしの部屋とは思えないわ。」
と冷たく言い放つ。

「その、仕事が忙しいとついね。」

「万年忙しいんだと、万年汚いんじゃないの?この部屋?」

私は、ぷんっと怒る。そして、思い出したように言う。
「仕事、戻らくていいんですか?」

「急にばかばかしくなってきちゃったから、やめたわ。 それより、さっきの事は金沢から聞いたの?」

「はい。多分そうだって。」

「多分で、他社の人間にペラペラ話すんじゃないわよ。あの男は。」
松山さんはいつになくイライラした面持ちでそうつぶやく。

私は、急に悲しくなって泣き出してしまった。

「松山さーん!」
がばっと抱き付く松山さんはいい香り。
私もこの人みたいに香水くらいつけなくちゃ。

松山さんは、びっくりして私を引き離そうとする。 
「ちょっと、お酒臭い。なによ!いきなり!もしかして酔っ払うと泣き上戸?」

「私、南くんのことが好きになっちゃったんです。」

「はい?」
松山さんは、私の目をのぞき込む。

「それなのに、あの金髪ふわふわのかわいい人。強敵ライバルが現れました!うわーん。」

「金髪ふわふわって、今のあなたじゃライバルにもなっていないと思うけど?」
松山さんは、苦笑する。

「そうですよねー。」
私は悲しくなっておいおい泣く。



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