再会からそれは始まった。
押し問答の末、結局なんだかうまいように言いくるめられて、私は次の住まいが見つかるまでなら良いと言ってしまった。

でも、本当に次の住まいを見つける気があるの?

惚れた弱み。

他の女の人のところに行かれるよりはマシという結論。

そして、なぜかまた片付けをさせられている。

「いくらなんでも、これはまた、散らかり過ぎだろ。
洗濯物ぐらいたたんでクローゼットにしまえ。」

「うるさいな、私の家にケチつけないでよ。」

「二人になるんだから、余計なもの増やしたらすぐに狭くなるからな。」

「だいたい自分だって物が多いんじゃないの?」

「これでも減らしたんだよ。 社長室にもスーツや仕事のものは置けるし、段ボールこれだけだぞ?」

そんなこと言いながら、やっぱり南一徹の手際の良さと言ったらない。

お昼前には、本当に二人ですっきり暮らせる部屋に生まれ変わる。

「腹減ったな。また、あそこ行こう。 中華の店。」
南一徹の笑顔に、私は彼はいったい何を考えているのだろう?と思いながら、いつものパターンであれよあれよと彼について行ってしまう。

二人でまた同じ席に顔を合わせて座っている。

真剣にメニューをにらんで、やっと南くんは何を食べるか決めたようだ。
「おれ冷やし中華。」
でも、久しぶりだ。
こうやって一緒にご飯食べるの。
休日の彼は、前髪はふわっと前におりていていつもより三つくらい若く見える。 
心の中で嬉しさがあふれる自分がいる。

「私もそれにする。おいしいよ。」
ついつい顔が笑ってしまう。

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