再会からそれは始まった。
 秘書 松山side


夏休みが明けて、いったい南さんはどこへ引っ越したのか?
謎だった。

仕事のものは社長室にだいぶ置いて、車もビルの駐車場に置いてあるけれども。
女の部屋にでも押しかけたのかしら?

よくわからないけど、地下鉄に乗って通勤している。
私は、呆れて言う。
「いくらなんでも、南さんの立場も考えますと、社用車で通勤されたらいかがですか?」


「いや。いい。ラッシュとか経験してみたかったし。」
南さんは嬉しそうだ。

「はあ。でも。」

「いいんだよ。その方がいろいろ発見もあるし。車が必要な時は頼むって。」

「どちらに引っ越されたんですか?」

「・・・・・・。」

あ、無言を決め込んだ。
社用車を頼めば、必然と住んでいるところがばれてしまうし。
ははあーん。女のところを転々としているとか? 
サラの理解を得たから、結婚も免れたし、好き勝手やれるものね。

まあ、いいわ。
そのうち何かがわかるでしょう。 放っておいて仕事仕事。




 
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