冷徹副社長と甘やかし同棲生活
 
 椿さんは、私に指摘されるまで気づかなかったらしい。あんなに接近して、意味ありげな発言をしたくせに。私のことをなんだと思ってるんだろう。


「私だって、れっきとした女性なんですよ」と怒りに任せて訴えると、 

「歳の離れた弟がいるせいか、お前くらいの歳の子は妹のように思えてしまって」と返された。

 弟のことを想っているのか、優しく笑っている。


「私は妹じゃありません! ちゃんと女性としてあつかってください」

「わかったよ」

「じゃあ、私はお風呂に入ってきます。おやすみなさい」

「……ああ、おやすみ」


 まだカレーの保存は済んでいないけれど、放置してキッチンを離れた。


 

< 117 / 321 >

この作品をシェア

pagetop