冷徹副社長と甘やかし同棲生活
苦い顔をしている椿さんをみて、やはり化粧をすべきだったことに気づく。
「すみません、顔を洗ってすぐに化粧をしてきます」
「そうじゃない」
「えっ? あ、髪型ですか? 簡単には直したんですけど」
「ちがう。 俺が言いたいのは、その薄汚れた服のことだ」
なぜ服を指摘されたのかわからなくて、目をパチクリさせてしまう。
椿さんは、私がなにも理解していないことに気づいたようで、大きなため息をついてこう話した。
「お前にとってここは職場のはずだ。身なりを整えるのは社会人の基本だろう。何より、俺の家に似つかわしくない。景観を損ねる」
「おっしゃる通りです……」