冷徹副社長と甘やかし同棲生活
「期待を裏切るようで悪いけど、ただの家政婦よ。しかも、私からお礼がしたいって頼んだことがきっかけだし」
「うん、全部聞いたよ。たしか恩人の娘さんなんでしょ?」
「そうみたい。だから助けてくれたし、採用してくれたんだと思うの」
「んー、それだけなのかなあ」
葵衣くんは、顎に手を当てて何かを考えているようだ。椿さんと同じ仕草をしている。
さすがは血を分けた兄弟だ。
「うちのお兄ちゃんはそんなに甘くないと思うよ? いくら恩人の娘だからって、気に入らなければ採用しないんじゃないかなあ」
「そうなのかな?」
「そうだよ、気に入ったから採用したし、一緒に住むことにも抵抗がなかったんだよ!」