冷徹副社長と甘やかし同棲生活

 そんなわけないと思ったけど、瞳を輝かせて話す彼に、否定的な言葉はかけられなかった。


「もしそうだったら、嬉しいな」

「まあ、家政婦がほしいって気持ちも大きかったと思うけどね。お兄ちゃん、家事だけは天才的にダメだから」

「あはは、わかる。この家で暮らしていたときは、葵衣くんが家事をしていたの?」

「うん。特に掃除が大変だったよ。あの人、すぐに散らかしちゃうから。一回怒ったことがあるよ、せめて靴だけでもしまってって」


 葵くんと話していて、いくつか謎が解けた。一つは、どうして玄関先だけきれいだったのかということ。椿さんは、弟に注意されたから玄関だけきれいにしていたようだ。けなげでかわいいところもあるみたい。


 
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