冷徹副社長と甘やかし同棲生活

「ありがとう。世話のかかる兄だけどよろしくね。そうだ、よかったら連絡先教えてくれる? これからもお兄ちゃんの話で盛り上がりたいし」

「もちろん、いいよ」

「わあい、ありがと。何か困ったことがあったらいつでも連絡してね……あ、結構話し込んじゃったね。そろそろ着替える?」

「うん」

「じゃあ、僕はあっちで待ってるから」


 葵衣くんは手をひらひらと振って、部屋を出て行った。

 椅子から立ち上がり、ベッドの前でどの服を着ようか吟味する。少し悩んだ結果、白のカットソーとカーキのロングスカートの組み合わせに決めた。

 着替えてリビングに向かうと、すぐに葵衣くんがかけよってきた。例えるなら、飼い主の帰宅を喜ぶ犬のよう。

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