冷徹副社長と甘やかし同棲生活
「美緒さん、すごく可愛いよぉ。サイズもぴったりだね!」
「そうかな、ありがとう」
「ねえ、お兄ちゃんもそう思うでしょ?」
葵衣くんが、相変わらずソファでビジネス書を読んでいた椿さんに話を振った。
椿さんは立ち上がって、私から二メートルほど距離を取り、値踏みするように見てきた。
全身に緊張が走る。きっとろくな感想を言わないのだろうけど、少しだけ期待してしまう自分がいた。
「相変わらず、葵衣のセンスは抜群だな。ナイスコーディネートだ」
このブラコンが、と罵りたくなった。予想以上にひどい感想。
「お兄ちゃん、なんでそういうことを言うかなあ……」
あからさまに表情を硬くする私に気づいたのか、葵衣くんがすかさずフォローを入れた。