冷徹副社長と甘やかし同棲生活
 
「美緒さん、すごく可愛いよぉ。サイズもぴったりだね!」

「そうかな、ありがとう」

「ねえ、お兄ちゃんもそう思うでしょ?」


 葵衣くんが、相変わらずソファでビジネス書を読んでいた椿さんに話を振った。
椿さんは立ち上がって、私から二メートルほど距離を取り、値踏みするように見てきた。

 全身に緊張が走る。きっとろくな感想を言わないのだろうけど、少しだけ期待してしまう自分がいた。


「相変わらず、葵衣のセンスは抜群だな。ナイスコーディネートだ」

 このブラコンが、と罵りたくなった。予想以上にひどい感想。


「お兄ちゃん、なんでそういうことを言うかなあ……」

 あからさまに表情を硬くする私に気づいたのか、葵衣くんがすかさずフォローを入れた。

 
< 139 / 321 >

この作品をシェア

pagetop