冷徹副社長と甘やかし同棲生活
 
「顔が赤いが……もしかして、葵衣に惚れたのか?」

「わ、のぞきこまないでくださいよ」


 いつのまにか、椿さんはごく近くにいた。私の顔を覗き込むように見ている。
 昨日の夜みたいに顔が近くて、どこに目線をやっていいのか困る。

「一つ忠告しておくが、葵衣に手を出したら許さんぞ」

「…………出しません」


 このブラコンが、と再び罵りたくなったけど、ぐっとこらえた。
 

「そろそろ買い出しに行ってきます」

「ああ、そうだ。今日の夜は二階のレストランで食べないか?」

「外食ですか?」

「明日からの仕事に向けて、景気づけにと思ってな。もちろん俺のおごりだ」

 
 
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