冷徹副社長と甘やかし同棲生活
■初めての外食
日が落ちてから、私たちは二階にあるイタリアンレストランに向かった。
メイクをしようとしたけれど、椿さんに「家の中を歩くだけだからそのままでいいだろう」と言われ、その通りにした。
店内に入ると、ベストを着て、ギャルソンエプロンをつけた店員の方に案内された。白い壁と赤タイルの床が印象的な、落ち着いた雰囲気の店内に、本格的な店員たち。
四名掛けのテーブルは十組ほどあり、半数以上が埋まっている。
やっぱりちゃんとメイクをすればよかったと、来た後で後悔した。
「いらっしゃいませ、今日はお連れ様とご一緒なのですね」
「ああ、たまにはな」
「こちら、メニューと本日のおすすめでございます」
店員は、椿さんと私にそれぞれ食事のメニューとドリンクメニューを手渡した。