冷徹副社長と甘やかし同棲生活
 
「……あれだけは許せん」

 グリーンピースにどんな嫌な思い出があるんだろう? と首をかしげるくらい、椿さんは嫌悪感剝き出しだ。
 そういうところ、母性をくすぐられる。子供みたいで笑ってしまいそうになるけど、また意地悪されるから我慢しよう。

 新しい話題を探そうとしていた頃、鯛のカルパッチョとカプレーゼが運ばれてきた。


「ここの料理は素材にこだわっているから、うまいぞ」

「わあ、楽しみです。いただきます」

 トマトとモッツァレラチーズを同時に食べると、トマトの甘みとチーズの酸味が口の中に広がる。チーズの滑らかな口触りは、癖になってしまいそうだ。


「おいしい!」

「だろう? こんなお店が、マンションの中にあるなんて運がいいよな」という椿さんの発言から、話題はマンション内の設備に移っていった。


 
< 147 / 321 >

この作品をシェア

pagetop