冷徹副社長と甘やかし同棲生活

「当たり前だ。分かっていると思うが、お金を稼ぐことは実に難しいことなんだ。競争社会の中で、常にトップに居続けるためには、社員全員が同じベクトルを向くことが重要だ。人任せな人間が一人でもいたらすぐに崩れてしまう。だから俺は、あえて厳しいルールを強いて職場に緊張感を持たせている。もちろん、一人一人の能力を信じてやっていることだ」


 きっぱりと言い切る椿さんを見て、意地悪だから部下に厳しいのではないかと考えた自分が恥ずかしくなった。母さんの言う通り、部下のことを想っていたのだ。


「私、いつか椿さんの直属の部下になりたいです」

「俺は厳しいぞ」

「わかっています」

「物好きな奴だな。泣くことになってもしらないぞ」

 
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