冷徹副社長と甘やかし同棲生活
椿さんは憎まれ口をたたきながらも、どこか嬉しそうだ。そんな彼を見て、改めてこの人が好きだな、と思った。
椿さんは皆に誤解されている。本当は部下想いの優しい人だってわかってほしい、と思う反面、私だけの秘密にしておきたいとも思う。
そもそも、椿さんと同居していることは二人の秘密だから、何も言えないのだけれど。
いつか、椿さんの気持ちが社員に伝わるといいな、と思った。
――翌日の金曜日。
仕事が終わった後、同期二人と一緒に電車に乗って、二つ隣の駅で降りた。
会社近くにも居酒屋はあるのに、なぜわざわざ離れた店を選んだのだろう。少し気になったけれど、質問するほどでもなかったので、静かに胸にしまった。