冷徹副社長と甘やかし同棲生活
 
 それからも、中垣さんの否定的な発言は続いた。

 職場に不満を持っている新入社員に同調して、一緒に悪口を言っている始末。
 他の同期はどう思っているかわからないけど、私は不快だった。せっかくおいしいコース料理も、あまり味がしない。

 最後の一人に順番が回ってきたときは、ちょうど開始時間から一時間が過ぎていた。


「僕は、鉄の掟っていうのがどうも合わなくて」


 同期の男子社員が口にしたのは、まさかの椿さんに対する文句だった。
 中垣さんは、隣に座っている彼の背中をバンバン叩いて、嬉しそうにこう言った。


「その話を待ってたんだよー」

 耳を疑った。それってつまり、副社長の悪口を言いたかったってこと……?

 
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