冷徹副社長と甘やかし同棲生活
 
「実はね、副社長とはそりが合わないんだよね。もっと部下には優しく、柔軟に対応しないとダメだよ。押さえつけるようなマネジメント方法は古くさいよね!」

「そうですよね。僕は中垣さんみたいな人が副社長だったらいいと思います」

「ありがとう。そう言ってくれるのはキミだけだよぉ」


 大げさに泣くふりをしてみせる、中垣さん。黙っていた同期たちも、「私もそう思います」と賛同している。

 私は、ずっと黙っていた。沸き起こる怒りを鎮めようと、一人戦っていた。
 中垣さんは何もわかっていない。椿さんがどんな気持ちで、部下に厳しくしているのかを。本当は社員ひとりひとりの力を信じているということを。

 少なくとも、新入社員の前で先輩社員の悪口を平気で言う人よりは、副社長にふさわしいと思う。

 
< 198 / 321 >

この作品をシェア

pagetop