冷徹副社長と甘やかし同棲生活
 
「何かあったのか?」


 心配そうな声を聞いて、ますます涙が止まらない。
 椿さんはこんなにも優しい。何度も私を助けてくれた。私だけじゃない、商店街全体を守ってくれようとした。
 
みんなが思っているような、機械人間じゃない。仕事を憂鬱に感じたり、つい飲みすぎたりするような、普通の人なのに。


「……悔しい。誰も、わかってくれない……」

「えっ?」

「みんなのことを想っているのに……私じゃ伝えられない……本当は、すごく優しいのに……」
 
 子供みたいに泣きじゃぐる。きっと、椿さんは困っているだろう。

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