冷徹副社長と甘やかし同棲生活

「だって……許せなかったんですもの」

「気持ちは嬉しいが、先輩社員に突っかかったらお前の印象が悪くなるだろう。次からは聞き流せばいい」

「……わかりました」


 納得はしていないけど、彼の言う通りだと思ったのでしぶしぶ頷いた。


「まあ、本音を言うと、俺も中垣とはそりが合わないと思っている」

「そうなんですか?」

「そりが合わないというか、あいつには少々問題があってな」

「問題?」

「相談に乗る振りをして、女性新入社員に手を出しているという噂がある。……既婚者ということを隠して」


 身体に電撃が走るくらいの衝撃を覚えた。人事部という、新入社員が最も頼りにする立場にいる人が、そんなことしているなんて。ますます中垣さんのことを軽蔑する。
< 207 / 321 >

この作品をシェア

pagetop