冷徹副社長と甘やかし同棲生活

「どうして、そんな人が人事部にいるんですか？」

　怒りを露わにしていると、椿さんに「落ち着け」とまた頭を撫でられた。嬉しいけどなんだか照れくさい。


「アイツは専務のお気に入りでな。上に取り入るセンスだけはあるらしい。証拠を揃えて問いただそうと思ってはいるのだが、忙しくて時間が取れないんだ。……もしかしたら、中垣はそれに気づいているのかもしれない」

「だから椿さんの悪い評判を広めているのかもしれませんね」

「わからん。俺は基本的に嫌われているからな」


　冗談っぽく話しているけれど、心なしか寂しそうに見えた。

「私は、鬼の副社長を信じています」

「熱烈なファンがいてくれて嬉しいよ。とにかく、アイツとは二人きりにならないように。まあ、生意気な新入社員に手を出すほどアホではないと思うが」