冷徹副社長と甘やかし同棲生活
■定食屋かしわぎ
社会人になって初めての長期連休、ゴールデンウィークがやってきた。
これといって出かける予定もなかったので、久しぶりに両親が営んでいる【定食屋かしわぎ】を手伝うことにした。
店では、父さんは料理、母さんは接客を担当していて、アルバイトも何人か雇っている。
私は高校一年から、大学卒業まで父さんに料理を学び、キッチンで働いてきた。
店のある商店街近辺ににはいくつか大学があり、うちは大学生向けに安くてボリュームのあるメニューを提供している。
ちなみに、父さんと母さんは学生たちから実の親のように慕われているらしい。
親しみやすい雰囲気と家庭的な料理がかしわぎの自慢である。
「母さん、掃き掃除終わったよ」
「ありがとね。手伝ってくれて助かるけど、休日まで働かなくてもいいんだよ? 天気もいいんだから、出かけておいで」
「遊びにいきたいのは山々なんだけどね、大学の友達は帰省している子が多いし、そんな気分でもなくて」