冷徹副社長と甘やかし同棲生活

「今日は学校帰りに来たの?」

「うん、もう講義はほとんどないんだけど、卒業制作のためにね」

「卒業制作? 葵衣くんって何学部なの?」

「ああ、言ってなかったかな? 僕美大に通っているんだよ」
  

 てっきり一般的な大学に通っていると思っていた。多少驚いたけれど、葵衣くんはセンスがいいし、美大生という言葉がしっくりくる。


「何を専攻しているの?」

「油絵だよ。実は、画家になるのが夢なんだ」

「そうなんだ! すごいね。夢が叶うといいな」


 夢を話すのが照れくさかったのか、葵衣くんはくすぐったそうに笑っている。


「ありがとう。……考えてみれば、僕と美緒さんは似た者同士かも」


 
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