冷徹副社長と甘やかし同棲生活
「……来るっていうか、来たし」
「へ?」
入口の方を向くと、この店には似合わない、スーツ姿の男性が目に入った。
背が高くて、モデルのように手足が長い彼は、私たちを見つけると真っ直ぐに歩いてくる。
「お兄ちゃん、どうしたの?」
「どうしたのって、弟に会いにきたんだよ」
「電車に乗ってきたの?」
「いや、タクシーだ」
私はまだ状況が飲み込めていない。だまってイケメン兄弟の会話を聞きながら、椿さんからの連絡内容を思い出す。
たしか、今日は十時以降に帰るって言ってなかったっけ……?