冷徹副社長と甘やかし同棲生活
ふきんでテーブルを拭きながら、小さくため息をついた。
「元気がない理由は、副社長のことかい?」
「うん、まぁ。私の所属するマーケティング部が残業規制になったのも、副社長の指示らしくて……それなのに仕事量は増えて、みんな大変そうにしてる。どうして部下をいじめるんだろう。あんな人とは思わなかった」
私が拭いたテーブルに、母さんは割り箸や調味料類を並べている。
「どうしてそんなに落ち込むの? もしかして、副社長のことが好きなのかい?」
「何言ってんの、そんなわけないじゃん。どっちかっていうと、憧れかな。ほら、好きなアイドルが実はすっごく性格悪いって知ったら落ち込むでしょ? それと同じだよ」