冷徹副社長と甘やかし同棲生活
■脅迫、そして……
その日の夜は、とても幸せな夢を見た。
椿さんに「好きだ」と伝えられ、口づけをされる夢。
手を繋いで帰ったからって、そんな夢を見てしまうなんて、私の頭はお花畑なのかもしれない。
木曜日の朝、椿さんと顔を合わせるのが恥ずかしかった。前日の出来事に夢が加わって、変に意識してしまったのかもしれない。
葵衣くんのお店で買った服を着て家を出る。今日はいつもよりも気分がいい。むわっと朝から湿度が高くたって、それほど気にならなかった。
ーーそんな幸せな気分は、とあるメールを開いた瞬間に消えていった。
シャボン玉が、儚く割れて消えてしまうように。