冷徹副社長と甘やかし同棲生活

 ショックが大きくて、仕事に全く集中できなかった。何度も小さなミスをして、菅野さんにも苦笑いをされる始末。

 家に帰っても、家事をする気がおきなかった。

 それでも、椿さんが帰宅する前には頑張ってご飯をつくって、笑顔で彼を出迎えた。


「ーーぎ、聞いているか?」
「あっ! ごめんなさい。何の話でしたっけ?」

 中垣さんのメールが頭から離れなくて、食事中なのに上の空になってしまった。


「今日のお前、なんか変だぞ。いつもより料理の味も濃いし……何かあったのか?」

 
 口にしているにも関わらず、味付けの分量を間違えていたことに気づいていなかった。自分でも重症だとあきれしまう。

 椿さんにまで心配をかけてしまって、家政婦失格だ。

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