冷徹副社長と甘やかし同棲生活
「じゃあ、私はキッチンに入るから」
「ありがとう。美緒が手伝ってくれたら父さんも喜ぶよ。最近元気ないからねぇ」
「そっか。いろいろ大変だもんね。お店は大丈夫なの?」
「大丈夫大丈夫。ほら、はやくいっといで」
母さんは笑って私の背中をぽんぽんと叩いた。
母さんの笑顔をみればいつだって安心するけれど、今回だけは違った。
定食屋かしわぎ、いやこの商店街全体が抱えている問題は、そう簡単に解決する問題ではないのだ。
「父さん、何か手伝うことある?」
「いや、今はない。開店したら頼む」
「わかった」
父さんはすでに下準備を終えていて、椅子に座って新聞を読んでいた。