冷徹副社長と甘やかし同棲生活
口数が少なくて無表情なのはいつものことだけど、心なしか元気がなさそうに見える。
ここ数か月でぐっと老け込んだ気がするし。
本当は父さんにいろいろ聞きたいし励ましたいけれど、ぐっとこらえた。
――十一時になると、母さんは出入り口に【営業中】と書かれたプレートを吊るした。
さすがに開店前から並ぶほどの人気店ではないけれど、数分後には四、五組のお客さんから注文をいただいた。
「今日は忙しくなりそうだね」
「だな」
キッチンから客席は見えないけれど、注文のペースと長年の経験で混み具合が予測できる。
今日は恐らく、十三時過ぎまでは時間との戦いになるだろう。