冷徹副社長と甘やかし同棲生活
「そんなことない。思ったことを伝えただけ」
『はは、そっか。初めて会ったときにも言ったけど、いつでも僕のところにきていいんだからね』
なんて返したらいいか戸惑ったけど、ありがとうとお礼を言って電話を切った。
葵衣くんの部屋だった場所に行き、すっかり見慣れた天井を仰ぐ。
“笑顔で背中を押してあげたいんだ”
葵衣くんの言葉が、頭の中で何度も何度も繰り返される。
椿さんが、本当にしたいことは何だろう。
もし、何のしがらみもなかったら、どういう生き方をしたいのだろう。
家族全員が仲良く暮らしていたら、お父さんの会社を継いでいたのだろうか。