冷徹副社長と甘やかし同棲生活

 
「俺の選んだ道は間違っていなかったと思う。でも、母さんも被害者だったんだなって改めて考えると……やるせなくなった。俺は、親不孝だったんだなって、思ったよ」
 
 そんなことない。椿さんは何も悪くない。だから、自分を責めないで。
 そう伝えたかったのに、言葉が出なかった。
 
 部外者である私の言葉なんか、何の価値もないと思ってしまったから。


「せっかく会えたのに、暗い話を聞かせてごめんな」

「いえ、話してもらえて嬉しいです。……それで、その、実家に戻るという話は?」

「…………まだ、悩んでいる。でも、先延ばしにしてはいけないから、今週中には決めようと思っている」




 
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