冷徹副社長と甘やかし同棲生活
 
 それからの一週間は、いつもよりも会話が少なかった。
 核心をつくことはせず、当たり障りのない会話だけを交わす。

 もしかしたら、この一週間が最後になるかもしれない。
 だったら、もっと楽しい時間にしたい、という気持ちもあった。

 けれども、それ以上に失うことが怖くて、明るく振舞うことが出来ずにいた。


 そして、平日最終日である金曜日になった。

 二人で夕食を食べていたとき、椿さんに土日の予定を聞かれた。


「特に予定は入っていませんよ」

「それなら、明日の夜はホテルにあるフレンチレストランで食事をしないか?」

「フレンチですか? どうして、また……」

「たまには、外で外食するのもいいだろう」


 


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