冷徹副社長と甘やかし同棲生活
「どこかにお出かけですか?」
「ああ、大事な予定が入っているんだ。夕方までには戻るから、家で待っていろ」
「はい」
どこに行くのか気になったけど、なぜか聞けなかった。
私に背を向けて歩く姿が、“何も聞くな”と言っているように感じたからだ。
一人ぼっちになった私は、とりあえずいつもの家事をこなし、適当にお昼をとった。
時計の針が午後二時を回ったころ、来客を知らせるチャイムが鳴った。
インターホンのカメラを確認すると、葵衣くんと、もう一人知らない男の子がいた。
「葵衣くん?」
「美緒さん、突然ごめんね。美緒さんに渡したいものがあってきたんだ」
「わかった、いま開けるね」