冷徹副社長と甘やかし同棲生活

「――以上で面接は終わりだ。気をつけて帰るように」

「はい、ありがとうございました」


 
 カバンを手に持ち、立ち上がって丁寧にお辞儀をした。
 元の姿勢に戻り、副社長に背を向けて出口へと進む。


「……4月、会社で待っている」

「えっ?」

 
 予想もしなかった言葉をかけられて思わず振り向くと、副社長は優しく微笑んでいた。


「うちは残業が多いから、覚悟しておけよ」


 聞き間違いじゃない。私は面接に通った。内定を勝ち取ったのだ。
 そう自覚した瞬間、熱いものがこみ上げてきて、涙が出そうになった。

 
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