冷徹副社長と甘やかし同棲生活
もしかして、照れているの……? あの副社長が?
こんな私から“アイドル”と言われただけで……?
「早く行くぞ」
「わっ、待ってください!」
ふいに手を握られた瞬間、胸の高鳴りを感じた。
副社長は私の手を引いて、商店街から離れていく。
彼の体温が手のひらから伝わって、全身を駆け巡った。
さっきまで氷のように固まっていたのがウソのように、とても身体が軽い。
氷を溶かす魔法をかけてくれたんじゃないかって、子供みたいなことを考えながら歩いていた。
「ここまでくれば、周囲を気にせず話せるだろう」
副社長は商店街を出てすぐの駐車場前で足を止めた。