冷徹副社長と甘やかし同棲生活

 一番大事なことを考えていなかった。
 副社長にお礼をするって、一体何をすればいいのだろう。

 仕事の面では全く力になれない。
 プレゼントを贈るにしても、すでに最高ランクの物を持っていそうだ。


「逆に問うが、柏木は俺に何を与えられる? 何が出来る?」


 私には何が出来るんだろう。私の長所はなんだろう。
 就職活動を始めるときも、同じ問題に直面した。

 これといって得意なことはない、結果を残したこともない。
 そんな私が、唯一胸を張って語れることといえば……。


「私にできることは、料理くらいです」

「料理か。……ありだな」

「えっ?」


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