冷徹副社長と甘やかし同棲生活

 そう呟いたきり、副社長は黙りこくってしまった。顎を手に当てて、何かを考えているようにみえる。
 今までと違う副社長の様子を見て、“料理”という言葉が好感触を得たと気づく。

 そうだ、副社長は定食屋かしわぎの常連客だ。
 うちの料理を御馳走するということが、一番のお礼になるかもしれない。

 お店に来てもらえればいつでもご馳走するとか、おうちまでデリバリーするとか、いろいろなサービスも考えられる。


「副社長、例えば――」
「――お前、料理以外の家事はできるのか?」

「他の家事ですか? 掃除・洗濯・裁縫、一通りできますが……」

「それなら任せても問題ないな」

「なんのことですか?」


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