冷徹副社長と甘やかし同棲生活

■お引越し


 それから二日後の夜、私は自室で引っ越しの準備をしていた。といっても、社長いわく家具は一通り揃っているそうなので、持っていくものは衣類やメイク用品くらい。

 二日分の衣類とメイク用品を旅行バッグに入れ、残りは段ボールに詰めた。

 段ボールをガムテープでとめ、明細表に副社長から聞いた住所を書いていると、とんとんと扉を叩く音が聞こえた。


「美緒、今大丈夫?」

「うん」


 母さんは私の返事を聞いてから、扉を開けて部屋に入ってきた。
 

「とうとう明日だねえ。荷造りは進んでるかい?」

 母さんは私のベッドの上にちょこんと座った。私も隣に座る。

「うん、もう終わったよ」


 段ボールを指さして誇らしげに言うと、母さんは「それだけ?」と目を丸くした。
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